「新型出生前検査、対象拡大へ…」の記事を読んで不安になったこと

「新型出生前検査、対象拡大へ…」の記事を読んで不安になったこと

疑問を持っている女性
今朝(1月31日)、読売新聞で気になる記事を見つけました。

【独自】新型出生前検査、対象拡大へ…不安持つ妊婦にも容認 : 医療・健康 : ニュース : 読売新聞オンライン
www.yomiuri.co.jp/medical/20220131-OYT1T50054/

なんと、NIPT(新型出生前診断)の妊婦の年齢制限を緩和するそうです。今まで大学病院や大きな病院では、出産時に35歳以上という年齢制限を付けていたのを「遺伝カウンセリング」を条件に「胎児の病気に不安を持つ妊婦」にも認めるそうです。

その理由として挙げているのが無認可施設での検査を受ける妊婦さんを減らすのが狙いだそうです。なぜなら無認可施設では遺伝カウンセリングを実施しているクリニックは少数で、妊婦さんとのトラブルや苦情が相次いでいたと記事には記載されています。

詳細は、1月31日に開かれる運営委員会で決定し、今年の春から運用を開始するとのこと。恐らく厚生労働省が読売新聞にリークしたと思われますのでほぼ決まりとみていいでしょう。
認可施設でNIPTを受けられる妊婦さんのハードルが下がるのはよい話だと思います。認可施設で受ける最大のメリットでもある「遺伝カウンセリング」を受けられるのだからめでたい話です。
Yahoo!ニュースにも転載されてコメント欄は大賑わいです。さまざまな意見が投稿されています。

ただ、ボクはどうしても引っかかる点があります。それは記事にあったこの部分です。

これまでは出産に対応できる大学病院を中心に認定されてきたが、出産する施設と連携した不妊治療クリニックでの実施も認める。その場合、臨床遺伝専門医か、出生前検査に関する研修を受けた産婦人科医の常勤が必要となる。

 検査の前後には、遺伝カウンセリングを実施し、病気が見つかった場合に出産するかどうかなどについて、相談に応じる。

どうして検査を受けられる施設を不妊治療のクリニックに限定するの? 後、出生前検査に関する研修を受けた産婦人科医って何? 

どうして内科医ではいけないのですかね? そこがどうしても疑問なんです。確かに美容診療やっている無認可のクリニックでは、採血だけして後は知らんぷりなんていうひどい扱いをしているのはボクも知っています。
例えば、下の2つの民間会社と契約しているクリニックですよね。

◯NIPT Japan提携のNIPT検査ができる医療機関リスト
niptjapan.com/medical/
◯DNA先端医療株式会社全国の提携医院
dna-am.co.jp/partner/

ここに掲載されている医院で遺伝カウンセリングをやれと言われても在籍している医院の先生は困るでしょう。だって染色体遺伝子の知識ありませんもん。精神科医や終末医療専門の医師がコロナのことを語ってしまうくらいあり得ないことです(そういえば臨床経験ゼロの医療技官がコロナ語っていたな)。

つまりNIPTで遺伝カウンセリングをするために必要なのは、染色体や遺伝子の専門的な知識を持った医師なんです。臨床遺伝専門医ならば間違いありません。でも産婦人科医と聞くとクエスチョンマークが付きます。すると産婦人科学会は、きっとこう返してくるでしょう。

「だからこそ出生前検査に関する研修を受けた産婦人科医に限定するのだ!」と。

先ずどの程度の研修をするのか不明ですし、臨床遺伝専門医並みの知識を得られる内容なのでしょうか? その点が不明です。そして「なぜ産婦人科医でなければいけないのか? 研修受けたなら内科医でもいいよね。美容診療やっているクリニックの医師でも良くないか?」という疑問が消えません。

運営委員会とやらが検査拡大するのは事前の遺伝カウンセリングを行わなずに妊婦さんに混乱を招いていたからとしています。2021年1月に厚生労働省で開かれたNIPT等の出生前検査に関する専門委員会で提出された「NIPT受検者のアンケート調査の結果について」にはこんな結果が掲載されています。


www.mhlw.go.jp/content/11908000/000754902.pdfより引用)

遺伝カウンセリングを受けてよかったという結果が多数です。そして同じアンケートではこんな事例も掲載されています。

• NIPTの結果が「モノソミーX陽性(モノソミーXの感度95%)」であったことについて、「トリソミーではなくターナー症候群ですので羊水検査の必要はありません」と説明をうけて相談に来院。
• NIPTの結果はターナー症候群疑いで、羊水検査(SNPアレイ)を受け、ターナー症候群ではなかったが、染色体の部分重複が検出された。「このような事例は世界のどこにもないから大丈夫」と説明を受けたが、ネットで調べると重篤な病気があるようで心配になって来院。
• 超音波所見では、cystic hygromaなどの胎児異常を認める症例にNIPT(対象疾患は13,18,21トリソミーのみ)を実施(結果陰性)し、その結果に対して適切に対応してくれないことで心配になって来院。
• NIPTを受検し、結果が出る前に別施設で行った超音波検査で染色体疾患のリスクを指摘され、結果の説明時にそのことを話すと、「NIPT(結果は陰性)以外の結果はわからない」と対応してくれず、心配になって専門機関とのことで来院。胎児に心奇形が認められた。
• NIPTの結果、13トリソミー疑いの結果が郵送されてきたので電話で問い合わせたところ「内容はネットで調べてください」、「羊水検査ならお安くできますよ」との返答でって不安になり相談のために来院。
• 検査結果の翻訳ミスのある報告書を交付。再診して説明を求めると他の疾患の可能性があると説明をうけ、心配になって来院。
www.mhlw.go.jp/content/11908000/000754902.pdfより引用)

確かにひどい扱いだったのがわかります。カウンセリングをしないで採血のみだからこんなことになったのでしょう。こんな声が出てきたら日本産婦人科学会はこうお返すに違いありません。

「そうだろう。だから研修を受けた産婦人科医が遺伝カウンセリングを行って妊婦さんの不安を軽くさせるのだ!」

でも、さっきの疑問には答えていないんですよ。どの程度の研修なのかもわからないし、研修受けたならば産婦人科医以外に、内科医でも耳鼻科医でも精神科医でも美容診療やっているクリニックの医師でもいいですよね? どうしてそちらには門戸を開かないのでしょう。

本当の目的が新聞記事にあるように、胎児の病気に不安を持つ妊婦さんのためならば産婦人科医に限定せずに研修を受けられるクリニックの幅を広げた方がいいでしょう。だって、妊婦さんの近所でNIPTが受けられるのならば遠くに行くよりも負担がかかりませんから。仕事で平日は通院できない方も土日にやっているクリニックで相談できれば助かるじゃないですか。大学病院や大きな病院でそうしたサービス拡大をするのは難しいのはわかります。特に今はコロナ渦ですので人員に余裕はありません。だからこそ町の医師が足りない部分をサポートするのが医療資源の有効活用だと思います。

だからこそ産婦人科医だけに限定しないで、内科医や他の診療科目の医師でも希望すれば研修とやらを受けられるほうがいいというのは思うのは素人の浅知恵でしょうか?

それと、無認可施設を一括りにしてダメみたいなレッテルを貼ろうとしているように見えるのもボクは気になりました。

無認可のクリニックで臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを実施しているところはあります。そうしたクリニックの存在を無視して、無認可施設は遺伝カウンセリングをやっていないと妊婦さんに思わせるのはちょっと違う気がするんです。

だから今、運営委員会とやらで議論をしているそうです。そこでお願いがあります。それは何よりも妊婦さんのことを第一に考えた制度作りをしてほしいということです。
産婦人科学会が自分たちの利権を広げるために、NIPTを食い物にするようであれば妊婦さんの不安を取り除くなんてできません。そのためにはどうして無認可施設に妊婦さんがNIPTを受けにいったのか? 自分たちの施設で患者さん(妊婦さん)ファーストの制度や医院づくりはできないのか? そこから考えてほしいと思います。

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