第2弾一体どうなる?これからのNIPT(厚労省検討委員会報告書より)

一体どうなる?これからのNIPT


東京(関東の)NIPTについて調べているNIPT調査隊です!日々、誤解の多いNIPTについて正しい情報を届けようとしています。

前回の第1弾に引き続き今回は厚生労働省のNIPT検討会の報告書が示した
これからの「NIPTをこうしていきたい」についてまとめていきたいと思います。
前回記事はこちら↓
第1弾一体どうなる?これからのNIPT(厚労省検討委員会報告書より)

NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

報告書にまとめられたその内容の中でも特に妊婦さん達に直接関わってくる可能性が高い

Ⅸ 適正な実施体制を担保するための枠組み
Ⅹ NIPT に係る新たな認証制度

以上の点を要点を絞って書いてみました。
今回もツッコミどころ満載な内容です。

適正な実施体制を担保するための枠組み



NIPTの適正な実施を行なうために報告書にはこのように書かれています。

検査を実施する医師には高度な専門的知識が求められ、その内包する倫理的・社会的課題も含め慎重な取扱いが必要である。それにも関わらず、検体採取の手技自体は採血のみで簡便であることから、妊娠から出産に至る全過程において包括的に産科管理・妊婦支援を行う知識や技能、責任を有していない医師が検査を行いその件数を急速に増やしているというのが現状である。
※NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書より抜粋

確かにその通りですね。高度な専門知識が求められるにも関わらず採血のみで検査が
できてしまうので、専門外の医師が入り込みやすい状況になってしまっていて、結果として
無認可施設で皮膚科や美容外科医師なんかが「知識もそれほどいらずに」「儲かるから」
という理由でNIPTを拡大するきっかけになったと言えますよね。

しかし上記には疑問も残ります。

『妊娠から出産に至る全課程において包括的な産科管理・妊婦支援』を行なっていれば
それは『高度な専門知識を有している』と言えるのだろうか。

報告書はこのように続きます。

一方、NIPT 以外の出生前検査については、
・ 羊水検査や絨毛検査は、高度な手技を必要とする侵襲を伴う検査であり、もと
 より習熟した産婦人科専門医以外の医師が検査を実施することは想定されな
 いこと
・ 胎児超音波検査についても、検査を実施するには専門的技能を要するもので
  あり、習熟した産婦人科専門医以外の医師が実施することは想定されないこと
・ 母体血清マーカー検査は、採血のみで簡便に受けることができ、かつ安価な
 検査であるが、通常は産婦人科専門医により実施されていること
 などの実状に鑑み、今後、関係学会等の協力を得て実態把握を行い、実施状況
 等を踏まえつつ、必要な対応を検討することが適当である。

要約すると、

『これまで出生前検査は産婦人科でやってきたんだから、私達がやるべきだ』

ということですね。言葉悪く言えば「ここはウチらのシマだぞ!」って感じですね。
NIPTは正式名称はnon-invasive prenatal genetic testing訳しますと

無侵襲的出生前遺伝学的検査

です。遺伝子検査ですからここで言う『高度で専門邸名知識を有している』医師というのは
遺伝診療科に精通している(臨床遺伝専門医)医師ということと思うのですが。他の出生
前検査を産婦人科が行なってきたから、産婦人科中心で考えるべきというのは本当に妊婦側
を意識したものと言えるのでしょうか?
※臨床遺伝専門医をお持ちの産婦人科の先生もおられると思いますが・・・

枠組みは産婦人科中心で行なっていくような道筋が出てきそうですね。
次はこの枠組みを踏まえたルール作りについてです。

NIPT に係る新たな認証制度



こちらは今年の3月に検討委員会から示された案です。名称等は変更となっているところもあるますが仕組みはほぼこのようなイメージです。
ここでは、各組織の役割などをまとめていきます。

出生前検査認証制度等運営機構(仮称)

日本医学会に設置される運営機構ですが、厚生労働省も参画していて「国のチェック」を働かせていこうとしていることがポイントと言えます。役割としては大きく3つ

1)出生前検査に係る国民への情報提供
2)NIPT に係る実施医療機関の認証基準の策定と認証制度の運用
3)NIPT に係る検査分析機関(衛生検査所)の認証基準の策定と認証制度の運用

運営機構は運営に課題が発生したら「出生前検査の実施体制等に関する専門委員会」に報告し対策を図る義務を負います。
妊婦さん側にとって大事なことは今後この運営機構がNIPT認証拠点施設とNIPT認証連携施設の認証を行なうということです。

これまでは学会の独自基準で決めていたものを、国も関与した組織(運営機構)で行なうということです。

NIPT認証拠点施設とは?

認証拠点施設の役割としては以下のように書かれています。
これまでの認可施設のの役割に加え、この後に書きます連携施設のフォローのようなイメージです。

NIPT認証拠点施設は、様々な専門職が在籍する周産期医療機関を想定し、
・ 出生前検査に係る情報提供の実施
・ 出生前検査に係る遺伝カウンセリング・相談支援の実施
・ NIPT の実施
・ 検査実施に係る臨床情報等収集・管理・登録
・ 出生前検査に関わる人材の育成
・ NIPT 認証連携施設等との連携・支援
・ 自治体の相談窓口や障害福祉関係機関との連携・紹介
等を担う。

NIPT認証連携施設とは?

今回の検討委員会で認可施設側が無認可施設拡大に歯止めを掛ける要となっているのがこの連携施設の存在です。
報告書にはその役割についてこのように書かれています。

NIPT 認証連携施設は、主として産婦人科単科の医療機関を想定し、
・ 出生前検査に係る情報提供の実施
・ 出生前検査に係る遺伝カウンセリング・相談支援の実施
・ NIPT の実施
・ 自治体の相談窓口や NIPT 認証拠点施設等と連携した受検者支援
等を担う。

ん~これは本当に機能するかわかりませんね。不安ばかりというのと
本当にできるのか?という疑問ばかりです。そもそも

①なぜ主として「産婦人科単科の医療機関」のみを想定するのか。
②遺伝診療科はもとより小児科の名前さえ入れてもらえていない。
③小児科学会、人類遺伝学会は運営機構に置かれて現場には多く関われない
 状況を良しとしたのか。
④産婦人科単科の医療機関は開業医がほとんどで専門外の遺伝カウンセリングが
 できるとは思えない。
⑤困った症例は拠点施設に丸投げになってしまわないか。
⑥結果として産婦人科開業医が最も得をする形にされていないか

などなど不安と疑問ばかり募ります。

検査分析機関(衛生検査所)の認証基準

こちらもこれまでルール化されていなかったものがルールが作られました。
最大のポイントは

検査分析機関は、非認証医療施設からの NIPT 検査を受け付けないこ
ととする。

とした点です。
認証拠点施設・認証連携施設の検査を扱う衛生検査所は無認可施設の検査を扱ってはならないことになりました。
つまり、

 ●これまで認可も無認可も検査していた衛生検査所は無認可の検査は断らなくては
 ならなくなった。※認証施設の検査を引き続きやっていこうとした場合
 ●主として無認可施設の検査を行なっていた衛生検査所は認証施設へのアプローチは
 できなくなる

簡単に言えば『踏絵』ですね。ちなみにこちらはヒロクリニックの検査を行なっている東京衛生検査所のHPですが



赤枠にあるような認証⇔無認可を跨ぐことはできなくなりそうですね。
東京衛生検査所も優先すべきは同じグループ内のヒロクリニックの検査ですので、今回の衛生検査所の認証基準は満たせませんから身内の検査のみの扱いとなるものと思われます。

産婦人科開業医の平均年齢は?

ちょっと古いデータ(12年前)なのですが、産婦人科開業医の平均年齢を調べてみました。



まず、産婦人科医の男女比は85:15です。
分娩施設の男性産婦人科医の平均年齢は『58.2歳』12年前でです。
おそらく現在は普通に60歳は超えているのではないでしょうか。

これまで妊娠分娩の周産期のみをやってこられた先生方がまったく専門外の
最先端の遺伝子検査を勉強しまして遺伝カウンセリングを行なう?
できます?ホントに?

ー還暦超えた人にシステムエンジニアの仕事を一から学んで下さいー

って言われてもボクにはできないかもしれない・・・
この例えがあっているか分かりませんが。

まとめ

今回は第2弾「枠組みと認証制度」について書かせて頂きました。
厚労省のNIPTワーキンググループの時から追いかけておりますが、結果として産婦人科ひいては『産婦人科開業医』を厚遇した仕組みになっていて、産婦人科学会が上手く立ち回り、小児科学会と人類遺伝学会は一歩引いたところにおかれ、主導権は握られたように思います。

妊婦さん側にとっては利便性のみ追求された形で当初「無認可施設は専門外の医師が~」といっていた不安は解消はされていないわけです。
仮に街の産婦人科でNIPTを受けて陽性だった場合、実際にカウンセリングを行なうのは認証拠点施設の方達ですから、妊婦さんはそこへ行かなくてはなりませんし、こうした施設は大学病院などがほとんどですから『予約がとりにくい』『日時を指定される』等、妊婦さんは不安な日々を長く強いられる可能性もあると思われます。

だとするならば、無認可施設でも遺伝専門医によるカウンセリングがあって仮に陽性であってもスピーディに対応してくれる施設の方が妊婦さんのニーズには応えてると思いますが、皆さんはどう思われますでしょうか?

全くもって納得はしていませんので、引き続き調べていきたいと思います。

次回は、第3弾検討会報告書からみた『今後の課題』についてを書かせて頂きます。
お楽しみに。


 

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