胎児超音波マーカー検査とは?【NIPT 基礎知識編】【医師監修】

超音波マーカー検査について勉強してみました!【NIPT基礎知識編】【医師監修】

 

NIPT?あっ、妊娠初期に胎児の異常があるかどうか採血だけでわかる検査でしょ?
ダウン症かどうかわかる検査でしょ?
間違いではないのですが、検査を受ける上で知っておくべきことがもっとあると思います。

妊娠初期の超音波マーカーとは?

診断検査とスクリーニング検査の違いとは?

あまりなじみがないかもしれませんが、診断検査は、直接異常そのものの所見の有無を確認しようとするものです。
スクリーニング検査というのは、その疾患に特異的ではなくても関連する所見を見つけ出し、異常の可能性の高いハイリスクな人を集団からピックアップするために行われる検査です。

ある所見があれば(あるいはなければ)疾患と同定できるものは診断
ある所見や検査値があった場合、異常である可能性が高いけれども正常なこともあるというような検査がスクリーニングなのです。

マーカーとは?

検査において、その疾患に関連する所見や検査対象の物質のことをマーカーと呼びます。

胎児染色体異常の確定診断

現状では胎児染色体異常の確定診断は、侵襲的検査である絨毛もしくは羊水染色体検査により行うしかなく、超音波検査だけで診断することはできません。

超音波検査で形態異常がある場合

超音波検査であかちゃんに形態異常の診断がつくことで、その異常に関連する染色体異常の可能性があることを知ることができる場合があります。

例えば、胎児の発育不全+小脳萎縮+心疾患がある ⇒ 18トリソミーの可能性が高くなります。

こういう場合、羊水検査を行うことで染色体異常の診断に至るケースもあるのですが、問題は形態異常を認めない染色体異常例もしばしばあることです。
逆に、後頚部の浮腫(NT)は染色体異常のリスクが上がるのですが、染色体異常がない場合もあります。

胎児の染色体異常を明確に知りたい場合は、侵襲的検査をせざるをえない、ということになります。
侵襲的検査は多少なりとも流産の危険を伴うため、染色体異常のハイリスク症例を抽出(染色体異常に対するスクリーニング)し、 妊婦さんががハイリスクと考
えた場合に侵襲的検査を考慮するという考えもあります。

胎児にずっとに存在する形態異常ではないが、胎児の染色体異常に関連の深い超音波所見を超音波マーカー(ソフトマーカー)とよびます。
ここで最も注意しなければならないのは、超音波マーカーは、他の形態異常の超音波診断とは異なり、正常例でも異常例でもみられることのあるひとつの所見だということです。

良いマーカーとは?

あるマーカーが正常例でみられる頻度(偽陽性率)がより低く、異常例での頻度(感度)がより高ければより精度の高いマーカーといえる。

マーカーのperformanceを表すものとして尤度比likelihood ratio(LR)という指標が使われ、高いものほどよいです。
尤度というのは起こりやすさのことで、 LRは感度を偽陽性率で割ったものです。
LRが便利なところは、事前にある程度わかっている確率にLRを掛け算すると、マーカーを考慮した異常である確率を求めることができる点です。
また、 いくつかの独立したマーカーのLRを次々と掛け算することで、すべてのマーカーを考慮した確率を算出することも可能です。

妊娠初期の超音波マーカー

初期の超音波マーカーはDown症、 18トリソミー、 13トリソミーをスクリーニングすることを目的としたものが知られています。
いずれのマーカーも対象が小さいため高解像度な超音波機器を要し、条件によっては見づらい場合も多く、所見の有無をとるために相当の時間と熟練した技術が必要です。
妊娠初期の超音波マーカーは、検者の手の動きひとつで測定値、確率計算値が変動してしまうので、精度管理が最も重要となります。
胎児の位置、胎勢などで正確な測定が困難なことも少なくありません。このような場合は、他のリスク評価方法も考慮すべきです。

nuchaltrans lucency(NT)

NTは正常、異常にかかわらず、妊娠3カ月頃に超音波でみる胎児後頚部の皮下のことをいう。
NTはすべての児にみられ、その厚みそのものがマーカーとなります。
NTの肥厚例ではDown症18トリソミー、 13トリソミー、 ターナー症候群などと関連が深くなります。
児がDown症を持っているおおよその確率は、 NTの厚さが3.5mm未満では0.2%(1/500)ですが、 4mm、 5mm、6mmとなると、 20%、 30%、 50%と高くなり、健常生児を得る確率は逆に70%、 50%、 30%と低くなっていきます。
NTは胎児の成長とともに増大傾向を示すので、 NT測定値だけでなく、 測定時に正確な頭殿長(CRL)の測定値も必要となります。
NT計測は、妊娠11~13週にのみ適応されます。これ以外の時期に計測しても参考値にしかなりません。
NTの測定は、 児が画面上部を向いた完全な胎児のまんなかで計測されなければなりません。

母体年齢による染色体異常のリスクに、妊娠週数やCRLで補正されたNTの厚さ、その他超音波マーカーの尤度比を掛け合わせて、統計的にリスクを計算します。

鼻骨欠損

ダウン維候群の児では、鼻が小さく、鼻骨の骨化がない、または低形成であることが知られています。
胎児の鼻骨は妊娠11週から超音波検査で確認でき、その欠損はDown症や他の染色体異常と関連することも示されています。

facial angle

NTや鼻骨を確認する画面で、口蓋骨上縁に沿ったラインと、上顎骨前上端から、前額外
縁に向けてひいたラインとの角度を測定すします。
Down症である場合は、 角度が大きい傾向にあります。

三尖弁逆流

三尖弁(右心房と右心室の間の弁)の流波形をパルスドプラ法で観察すします。
60cm/sec以上の逆流波形が観察される場合を三尖弁の逆流といい、Down症の超音波マーカーとされます。

胎児心拍数

胎児心拍数は染色体正常の児の分布に比べて13トリソミーで速く、18トリソミーで遅い傾向
があります。

静脈管

静脈管の逆流所見は必ずしも異常を表すものではないのですが、Down症などのリスクが上が
ることが報告されています。

妊娠中期の超音波マーカー

現在は超音波機器の解像度の向上によってDown症などの染色体異常のリスクの評価は妊娠初
期に移行したため、あまり中期の超音波マーカーが用いられることは少なくなりました。

参考文献:超音波胎児形態異常スクリーニング

まとめ

いかがでしたでしょうか。

様々な理由はあると思います。
『望まぬ妊娠だった』方は別として、NIPTを受ける方々は

恐らく『望んで妊娠した』方々と思いますので、
結果に対する判断は大変重いものですし
陽性になったとき
心身のダメージは計り知れないことと思います。

特に今回勉強してみて、妊娠中期で判断することは大変なことと気付かされました。

NIPTは10週0日から受けられますが、どのタイミングで結果を受け取るかで、
患者側は
とてもスピーディな判断を迫られることになってしまいます。

『12週目までに判断したい』

いう方々が多くおられるのも今回良く理解しました。

以前取り上げましたが、神宮外苑ミネルバクリニックのアラフォー応援コースは2社のNIPTを

同時に検査することで、高い陽性的中率(羊水検査の必要性が揺らぐくらい)を実現とHPに

ありました。
ということは、同時に受けておけば羊水検査の必要はなくなる可能性があるってことですよね。
NIPTの検査結果だけで判断が可能になるとすると、16週まで待って羊水検査をして
結果がわかるのに2-3週間待たないと行けなくて
そうすると19-20週で中絶ってことになりますから、負担が大きくなっちゃいますよね。

これに対して10週で2か所で検査しておけば12週で判断可能ってことなので
期待が高まりますね。

リンク貼っておきますので、気になる方は是非覗いてみて下さい!

今後もNIPTを取り巻く基礎知識を取り上げていきたいと思います。

では!また次回。

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医学的な内容を発信するので、仕事でお付き合いのあるお医者さん達に内容に誤りがないか
レビューしてもらうことにしました。

このサイトの医学的内容の監修ドクター
外科専門医 DAIGO 先生
防衛医科大学医学部卒業、防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、各自衛隊基地の医務官を経て
外科専門医を取得。専門は一般外科・総合診療。
救急診療医 JOHN 先生
東邦大学医学部卒業、同大学付属分院にて救急診療に従事。

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