これってもしかしてつわり?その時チェックすべきこととは?【医師監修】

これってもしかしてつわり?チェックすべきこととは?【医師監修】

つわりとは?

妊娠初期にはきけ、むかむかする、 ときに嘔吐、食欲不振、食べ物の好みの変化など、主に消化器症状をみることは多くの妊婦さんに経験されるものです。
ほとんどは全身状態が害されることなく自然に治癒し、つわりや妊娠嘔吐といわれ、妊婦さんの50~80%にみられるとされています。

妊娠悪阻とは?

つわりの症状が悪化して食物の摂取ができなくなり、栄養障害や代謝異常、臓器障害をひき起こして全身状態が害され、程度がひどい場合は生命が危険となるような状態になることがあります。これを妊娠悪阻といいます。
妊娠悪阻では糖質の摂取が不足することで、体内では「異化」といってタンパク質を分解して生きるのに必要なエネルギーをゲットしようとするため、たんぱく質が分解されることでできるケトン体が増えてしまい、血液や尿のなかのアセトン体が増加してしまいます。

症状が進行すると電解質バランスが崩れ、血液の酸性度が増したり、肝臓・腎臓などの重要な臓器の障害を起こしたりします。
妊娠悪阻は、妊娠初期の内分泌や代謝面の急激な変化と、 自律神経失調などによる母体の適応がうまくいかないことにより起こると考えられています。
しかも妊婦自身の体質・性格・環境などがおおきく影響しています。

まれには、 嘔吐を繰り返し、胃酸で食道が傷ついて傷がついて吐血することもあります。
また、ビタミンBが欠乏することによりWernicke脳症を起こすこともあります。
これは両側の眼球運動障害(外側に動かせなくなる)、意識障害、運動失調、耳鳴り、難聴などがみられます.末梢性ニューロパチー(しびれる、動かせない)や腱反射がなくなり、最終的には昏睡に陥って死亡することもあります。

妊娠悪阻の頻度ってどれくらいなの?

診断基準が違っていたり、各医療施設により受診する対象妊婦が異なり、正確に把握することは難しいですが、入院治療を要するものは全妊婦のl~2%と報告されています。でも、入院治療を要するもの、と定義してしまうと医療機関によりどの程度なら入院させるという基準が違うと思われるので、正確な率はわからないですよね。
はきけ、むかむかする、吐く、食欲不振と脱水、軽い代謝障害例を含めれば妊婦の数%になり、神経質で情緒不安定な女性に起きやすいとされています。
また、胞状奇胎妊娠に合併する頻度は高くなります。

どういう人が妊娠悪阻になりやすいの?

妊娠に関連するもの

胞状奇胎などの絨毛性疾患の人、妊娠悪阻になったことがある人、多胎妊娠、初産の人などが挙げられます。
前回妊娠時に妊娠悪阻既往を有する女性が反復して妊娠悪阻になる危険性は、前回既往がない症例に比べ28倍との報告があります。

疾患に伴うもの

糖尿病、甲状腺機能異常、精神疾患、喘息などがあると妊娠悪阻になりやすいと考えられています。

そのほかの要因

配偶者を変えると罹患率が減少するとの報告があります。
本人の素因のほか、配偶子(精子、卵子などの生殖細胞のことです)が影響を及ぼしている可能性があります。
びっくりですね!

妊娠悪阻の原因とは?

妊娠悪阻の原因はいまだに不明なんです。
現時点では、妊娠に伴う内分泌学的変化や糖・蛋白質代謝の変化、妊娠に伴う母体の精神的不適応などが考えられています。

1)ヒト絨毛性ゴナドトロピン

ヒト絨毛性ゴナドトロピンhCGは妊娠した時だけ女性の体内にあるホルモンです。
絨毛というのは受精卵が子宮の壁に入り込むときに子宮にうつくさびのような組織だと考えてください。
絨毛は胎盤の一部で、血管がこの中にあり、栄養や酸素を受け取ったりいらないものや二酸化炭素を母体側に渡したりしています。
hCGは妊娠悪阻の成因として最も重要なホルモンと考えられています。
絨毛性疾患(胞状奇胎)や多胎妊娠では妊娠悪阻がみられやすくなっています。
妊娠悪阻群のhCGはそうでない群に比べて有意に上昇していることが報告されています。

2)妊娠一過性甲状腺中毒症

妊娠悪阻に悩む妊娠初期の妊婦には、ときどき妊娠一過性甲状腺中毒症がみられます。
妊娠初期より18週前後まで継続する機能亢進症状が特徴的で、 サイロキシン(T4)といわれるホルモンが増加します。
妊娠前に甲状腺疾患がない場合、甲状腺が大きくなっていない場合、 甲状腺に対する自己抗体がない場合、妊娠中期で症状が改善する場合に診断され、特に治療はしません。
hCGは甲状腺を刺激する甲状腺刺激ホルモンTSHと同じ構造(d-subunit)をもっていて、妊娠初期にhCGが高いと甲状腺に対しても交差反応してしまうためということで説明がつきます。

3)ピロリ菌

ピロリ菌の慢性感染は冑潰瘍・胃炎などの原因と考えられていますが、妊娠悪阻の要因としても注目されています。
妊娠悪阻症例群では症状のない群に比べて、胃粘膜生検にてピロリ菌が観察されることが多いという報告があるためです。
ですが、抗菌薬治療による症状改善効果ははっきりしていません。

妊娠悪阻?でも可能性を考えないといけない他の病気とは?

妊娠初期に悪心、嘔吐を訴える疾患として急性虫垂炎、十二指腸潰瘍、肝疾患、腸閉塞、食中毒、胃癌などを背景とする場合があります。

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以上、今回もボクがお勉強した内容を書いてみました!
いかがでしたか?
妊娠悪阻で命がなくなることがあるなんて、びっくりでしたね!
それでは、また!

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医学的な内容を発信するので、仕事でお付き合いのあるお医者さんたちに内容に誤りがないかレビューしてもらうことにしました。

このサイトの医学的内容の監修ドクター
外科専門医 DAIGO 先生
防衛医科大学医学部卒業、防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、各自衛隊基地の医務官を経て外科専門医を取得。専門は一般外科・総合診療。
救急診療医 JOHN 先生
東邦大学医学部卒業、同大学付属分院にて救急診療に従事。

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